ヨルシカ
この場所が僕の最後だ
夜しか生きられない、この歌の最後だ
君だけだ、君こそが僕を形作っていた
もうこれは僕には必要ない
誰かがきっと届けてくれるだろう
君はどうしたいんだい、エルマ
彼が必要ないと書いたこの曲も詩も
私には必要なものだと彼はわかっていた
貴方に音楽しかないように私にも
貴方ならきっと口にしない
何も言わずただ言葉を書き留める
優しさなんてただの一つも役に立たない
言葉は、銃弾には敵わない
彼の口癖はしっかり染み付いている
大丈夫、まだ忘れていない
そう私は貴方の言葉で貫かれた
まるでマシンガンのように何度も何度も
私はただ彼を追いかけている
忘れないように、色褪せないように
例え往ってしまっても
夏が終わる、そして私も
潮風が背中を押している
あれだけ憧れる彼らも
既に逝ってしまったのだから
人生なんてもんは消費するだけで
得るものなどはほとんどない
なんてとんだ嘘つきだな
この藍は多分、言葉よりも幾分か素直だ
瞼を閉じれば見える
記憶の中はいつも夏の匂いがする
遠く霞む空、雲を描いたあの時のように
ただ重なる藍は、君泳ぐ姿を捉え
ゆっくりと静かに落ちていく
ただ静かに落ちていく
君に出会えて、、
8/31
3/21
藍二乗 / エイミー
私は今、彼の後ろ姿を追っている
変わらない風景、高架下で寝転んでいた
彼が描いた詩をなぞって
見えない雲をなぞって
人生をなぞって
この指先には本当に神様が住んでいるのだろうかなんて
何度も確かめる
まるで街ゆく人の声すら
バックミュージックのようだった
茜差して気づく、私は夏を待っていた
3/22
夕凪、某、花惑い / エルマ
僕は今、余った寿命で思い出を漁っている
どこでもいいから逃げ出したかったのかもしれない
君をなぞって
彼らをなぞって
音をなぞって
音楽なんかを選んだ自分を心底恨んでいる
欲しかったのは名声でもお金でもない
才能だ
こないだよく分かったよ
だから僕は音楽を辞めた
正しく言えば、嘘をつくのを辞めたんだ
だけどエルマ、描いてみるよ
今はまださよならの言い方すらわからないけれど
4/24
詩書きとコーヒー / エイミー
エルマ、そろそろ時間だ
僕の旅もそろそろ終わる
さよならの時間は分からないようにするから
君はきっと笑っていてくれ
君が描いた歌を見て僕はまた音楽を作れるようになったんだ
今更だ
寝ぼけまなこの君を、2人で居たあの夏を何度も描いてしまう
今更もう一度君に会いたいと思った
僕は君に会いに行かないとだめだ
生まれ変わってでも
僕は今、光を見ている
淡い光とはとても思えない、月光を
8/27.31-9/12
海底、月明かり
気泡吐き出して数秒
見上げたら、藍が重なって
君が描いた曲を思い出す
私は今、光を見ている
指先に住んでいた、神様を
私はまだやりたいことがある
今ならきっと描けるはず
エイミー、私は貴方と歌が描きたいわ
9/16
エイミー / エルマ
窓辺に咲いた、あの日のカトレア
貴方が描いた唄が
君を描いた詩が
作ったものはいつかは壊れる
長い夜もいつかは明ける
それでも私たちはまだ
夜しか眠れないままで
春夏秋冬
アラームの共鳴、句点書いて捨てた
春、踊り場がよく見える、朝
風が縫った隙間、こべりついた言葉は
夏、霞がかっていたまま
夕凪、息も止まるほど
鼓動が歌っていた
「さよなら」
聞こえないもんだな
最後の言葉は
言ってしまえば
このまま二人、夜に還るの
空声、溜まり場
流れる、春夏秋冬
暮れになって気づく、春と夏の亡骸
秋、落ちていく葉が隠すまま
心に刺した言葉、こべりついた言葉
まだ、剣先が見えているまま
なぁリリー
聞こえないもんだな
最後の言葉は
今になって気づく、捻り出した言葉が
冬、白く靄になって消えた、夜
逝ってしまえば
このまま二人、夜に還ると
空晴、今なら
言ってしまった
このまま二人、夜を超えると
人生、踊り場
流れる、春夏秋冬
風夏
風吹いた夜は
筆で書き溜めた言葉
折り曲げて飛ばして
窓際、着陸オーライ
風景を描いた
その紙は徐々に流れて
泣いたって変わんない
言ったって、どうせわかんない
夏が来る5分前
懐かしいラジオネームと
AMの時計台
アラームは既に鳴ってた
この、風が止まるまで
この、夏が終わるまで
雨が止み、足枷をとり、遠く離れた貴方に
会いに行く、風夏
玉詰め瓶返した
透き通る、青い気持ちが
つっかえて戻んない
言ったって、どうせわかんない
この、風が止まるまで
この、夏が終わるまで
雨は止み
空、夏霞
遠く離れて行く度
今はもう、風化
風は止み、夏の行先
開いた海、日々の行先
やつれた想い、鼓動が刻み
内窓の縁、あの日のメモリー
夏陰の恋、光る縒り縁り
開いた口、"好きなんだリリー"
言葉を濁し、綴る"僕より"
風は止み、夏は彩り、優しく微笑む貴方に
会いに行く、風夏
太陽少女
ねぇ、SunGirl
その目にはきっと何もかもが見えていて
ねぇ、ずっと
気になってたんだけどその目で夜は見えるかな
もう、Sunday
いつのまにか日は流れ
僕ら世界を追い越していたなんて
つまらない冗談笑うのは君くらいさ
スタートは一斉に
だけど出遅れた人生に
君は笑いかけた、ルールは壊すものと
ねぇじゃあこのまま一斉に
後ろに下がって1歩前に
進めばゴールだよと
君は笑いかけたんだ
なぁ、太陽少女
君が帰るまで
1人でもいいさ、僕はこの街で君を待つ
夕刊で知ったことだけど
貴方はどこで生きてるの
その6弦、誰かの為じゃなく
揺らして欲しいから、ここに来て
そう私は、太陽少女
星にはなれなくて
一人で生きるわ、貴方のこの街で
なぁ、太陽少女
君が還るまで
独りでもいいさ、僕はこの空で君を待つ
世界の中心(僕らごとver)
夏の暑さのせいだ、
君はそう言って風を吹かす
今までのことなんて
悲しいくらいに覚えてないから、
ヨレたTシャツの首元に
顔を埋めている
何にもない日曜日
朝が来て夜になる
7/13、君を想う
世界の中心はいつも君さ
これからいくつの先を望む
いつものあの場所にて君を待つ
2人を繋いだあの映画も
眠れない夜の日も
なぜなのか君が居て
奪っていくその心を
7/14、早く起きる
今日も中心は君の事さ
これからいつまでもそう居られる
いつかは届くように君を待つ
強く繋いだ気持ちと裏腹に
駆け抜ける、時間と思いがまた
いつかの日付に2人がいる
俺の中心には君がいる
君の中心には誰がいる?
答えはわからないまま、知らないまま
明日はきっと雨が降る
止まらない思いが晴れを呼ぶ
世界の中心にて、君を待つ
令和三年-令和三年、雨天決行ver-
家籠もりを終え 誰か呼ぶ声
情熱からおよそ遠い情熱
明日こそ晴れ 風にまかせて
旅立ちの日には旅立てるよう
僕の鼻歌 今日ばかりは この町のBGMみたい
それでも未だにマスク越し
とげられぬ夢 やむを得ぬ故
恨めしく睨んだ 令和二年
幕引きの映画 新譜のツアー
辞められぬ五輪 令和三年
焦りも暇も言葉にした歌
物理的でなくても繋がる
悲しさの先で 楽しく生きて
感情と軒先で落ちあわせ
公園でキャッチボール 子供らの笑顔が絶え間なく
そんな時を、待ちわびる僕らマスク越し
買出しに行く 君の手を握る
それだけで居れる 令和三年
カーテンを閉めるのに何故戸惑う
朝日に君の背中
優しくすることもできる 傷つけることもできる
武器にも薬にもなるなら 僕はどちらを選ぶだろう
変わる 世界の隅っこで 分かつ 個々の小宇宙
繋がる術を持つ僕らの 心 応答せよ
封鎖の公園の桜 誰に見られずとも咲いた
残念だな 残念だな 約束したはずなのに
仕事がなけりゃ 先立つは金
見捨てられた市井 令和二年
先は見えない 「けど大丈夫」
僕に嘘をつかせた 令和二年
変わらぬ日常と令和三年
曇天-令和三年、雨天決行ver-
とにもかくにも僕らの日常は奪われた
描いた未来ひび割れた その破片がこれだ
八つ当たりの罵倒やいらつき、自己嫌悪の里親
疑心暗鬼にとって心の陰こそがまほろば
天気予報ばかり気にして うつむき加減スマホで
今日も今日とて薄雲に太陽は朧げ
検証不足、繰り返す令和三年、初夏のわだかまり
綴る歌詞にも何故か同じフレーズが間借り
緊急のつもり、繰り返される宣言と宣誓
足がすくんだ、どうせ踏み出すこともできぬが
けれどこのまま、何か変わることも無いまま
酒で流すか、そうかどこも置いてないのか
持ち合わせてるつもり人の為に痛める心
だけどもう噂話に配る余裕はない同情
人の知りたいって欲望は果てしない
時にはしたない その引力に逆らい唾を吐く罰当たり
悲劇にだって付いて回る数字と金勘定
人気投票はいいが無視されてる下位の感情
だから頷けない、売れたもん勝ちって価値観
結局は権威主義の上で尻尾を振れってまじか
出来るならばそんな騒ぎとは遠く離れたい
小さな幸福だけど無垢だからこそ馬鹿でかい
分からない奴は分からないままでいい
分かるべき奴だけが気付くテレパシーで作詩してる作品
昨日までと違う日常に右往左往している
まるで捨て犬 「神様、仏様」ってフレーズ
ここで終わりか 駅前、シャッター街また増えてる
せしめるだけせしめて与えない救世主
そうか行くのか この町の栄枯盛衰
訳は知っているから引き止めることもできずに
「またな」と言うな または来ないと知りながら
無理に笑うな 別れはすぐ癒えるかさぶた
もし明日事故にあったら もし明日会社が潰れたら
もし明日愛する人が死んだら
もし明日疫病が流行ったら もし明日災害が起こったら
そんな「まさか」が 何度もあったこの数年を見てきたあなたが
手にしている花束
弱い者や少数派をないがしろにしてはいけないって訳は
明日なり得るあなたの姿だからだ
今日も鳴らすか 取るに足らない音楽と言葉を
今のところは一人で 祈りを没頭に結わえて
陶酔が晴らす憂鬱の煙霧を 出来るならば分かち合いたい仲間たちも
してるはずだ苦悩を
今日の苦心が作る未来の高揚を
今日の落ち込みが作る事態の報告書
今日の自分が作る限界と人生を
超えたいと息づく、僕らは音楽家
そんな戸惑いを、歌にして吐露
そうやって集めて形にしたものを
疑いそうになる自分を保つのは
結局は創作
たかが凡作
されど音楽
始まり彼方 音に連れられては遠ざかる
疲弊物語る けどこんな時こそ用がある
今日も曇りか 降らないだけましだ旅立て
後は任せた 今日の僕が行けぬ場所まで
そしてまた階段を一段一段下りてゆく 暗闇に心の葛藤だけが反響する
もう一人の自分と今日もそこで落ち合う
見張り合う発想には いつだって静寂が寄り添う
光によく似た 温もりとそっくりな
春の日差しと見紛うような まだ名前のない赤子は
祖父と似ていた 生と死の結び目、そこで僕は立ってた
名付ける前に僕が名付けられた
怒り苦しみ 悲しみだってどうせ消えない
新しい一日に完璧なんてもう求めない
それを知ったって生きてみたくなるような
喜びがあることを知ってしまった だから歩こうか
今日も曇りだ 雨は降らなそう 覗く車窓
人がまばらな公園で今日は遊ぼう
「暑いマスクはしなくたっていいさ」
不安なく言えるのはまだ先か その未来は
忘れない為に書き殴る今日の出来事
エンドロールまだ来ない悪夢ならペンをとろう
やるせない令和に この空こそふさわしい
騒がしい巷に雲行き怪しい暮らし