loose day

夢の中で君は少し笑っている

ほんの少しだけ笑っている

 


「おはよ、早く起きて」

寝ぼけ眼の僕はいつも通りに君を揺さぶる

揺れるベット

君は向きを変えた

中合わせ、朝日が遮る

 


いつもの朝だ

変わらない朝、眠い朝、君がいる朝

窓から光が差し込んで、何もかもが輝いて映る

少し大きなベット

部屋干しのシャツ、乾いたパンツ

まだ去年のカレンダー

6枚切りのパン、マーガリ

 


偶に頭をよぎる不安も

目を閉じれば忘れてしまうし

明日の朝も同じように過ごすんだと思うと

自然と心にも光が差し込む

 


おやすみだけは出来るだけ一緒がいいと

2人で決めた初めてのルール

寝たフリし合って、君は目を瞑って

そのまま夢へ、長い旅路へ

目覚めたら今へ戻るんだっけ

朝は来ないで、夢のままで

 


ふと思い出した日々は

地面の小石が岩になって躓いて

見返すカメラはフィルムが切れていた

ならばとファインダー越しに

まばたきのシャッター

寝たフリだ、ってつねったら笑うはずで

そっと眠る君にはフラッシュなんて、いいね

 


ずっと一緒にいるさ、心も身体も

でも何故か足りなかった

どうしようも無かった、

届きそうなところで届かない

奇跡なんて起こらない

時間は戻らない

なんて、言い訳並べても途切れないこの気持ちだけが辛い

少しずつ、少しずつ

ほんの少しだけ、忘れていける気がした

 


朝起きてパンを焼く、最近は5枚入りが好きなんだ

マーガリンもバターに替えたよ

未だに石は大きいし、未だに躓く

カレンダーだけはめくらないし、めくれないままだよ

 


でもね

 


僕は、ずっと大人になったよ

瞼の裏に書いてある思い出を読みたくて

それを読んだら続きは現実な気がしてる

 


まぁ、そんなことはなかったのに

また目を瞑ってるよ

神様はきっと、君の瞼の裏に、やけに長い物語を書いたようだね

おやすみって、笑っていうよ

明日の朝は、「早く起きて」かな?

 


夢の中で君は少し笑っている

ほんの少しだけ、笑っている