春鳴

まばたきをする間も無いような

その可憐な春鳴、散り際に

握ったままのカメラが今

優しさを持って君を否定する


古道を拾うその後ろには

コインランドリーとその2人が

有った感覚、だけがあった

春髪少女、君を忘れない


確かにあった

覗いたファインダー越しに見える

進まないカレンダーが

今でも濁ったまま


まばたきで下ろしたシャッターが

その可憐な瞬命、散り際に

濁ったままのカレンダー今

優しさを持って君を否定する


確かに在った

切れない切らないまま

徐々に薄れてく色はまるで

あの、優しい嘘


瞬く命も

春、鳴る気持ちも

その亡骸、抱えて進んでくだけ

吹き溜まる春風

カメラを持って


まばたきをする間も無いような

その可憐な瞬命、散り際に

握ったままのカメラに今

君が覗いて、春が除いて

それでもまだ、切らないままでいる