春鳴

まばたきをする間も無いような

その可憐な春鳴、散り際に

握ったままのカメラが今

優しさを持って君を否定する


古道を拾うその後ろには

コインランドリーとその2人が

有った感覚、だけがあった

春髪少女、君を忘れない


確かにあった

覗いたファインダー越しに見える

進まないカレンダーが

今でも濁ったまま


まばたきで下ろしたシャッターが

その可憐な瞬命、散り際に

濁ったままのカレンダー今

優しさを持って君を否定する


確かに在った

切れない切らないまま

徐々に薄れてく色はまるで

あの、優しい嘘


瞬く命も

春、鳴る気持ちも

その亡骸、抱えて進んでくだけ

吹き溜まる春風

カメラを持って


まばたきをする間も無いような

その可憐な瞬命、散り際に

握ったままのカメラに今

君が覗いて、春が除いて

それでもまだ、切らないままでいる

 

まだ切らないシャッターは

木造アパートの1階

日差しだけが差し込む部屋

瞬きをする間もないような

そんな日々も

小さな優しさも

上手く息を出来ない時も


それでもいつまでも2人で居たいと思う日々と

まだ会えないと嘆く日々を

繰り返して進む、忘れてく昨日

と今日の合間のこの鎖を切り落とす、heartbeat

まばたきで下ろすシャッターの

先の姿を見て笑う君を


そんな物達の名前を


✩愛だと知ったよ / 岩見拓馬

 

まだ切らないシャッターは、

散り切った春を写していた


その右手は

ささやかな幸せを握っていた


その赤らめた頬に触れる度

散った春が戻ってきた


古道を拾うその後ろには

優しい風が吹き溜まった


コインランドリー前口を開く


✩春髪少女  / Nem

 

それから、時間は流れ

僕らはずっと大人になった


旅にも出た、家でくつろいだりもした

そんな在り来りな日々は日付を無くしていった


それでもまだ切らないシャッターは

ファインダー越しの風景として残っている


徐々にルーズになっていく視界に

思わず涙を流した日もあった


そんな毎日を描いた僕は

少しだけ大人になった

 

✩loose day / Nem

 

しばらく、カメラには触らなかった

"触れなかった"の方が正しいかもしれない

まだ、いや"また"か

シャッターは切れない

手に収める度、頭の中をリフレインする

言えなかったこと、言わなかったこと

後悔なんてキリはない

その答えのない旅路にただ足跡を刻んでいた

もしもその跡を辿れるのであれば

踵を返して還って来るのであれば

あの5月の、、いや辞めておこう

 

あぁまた同じだ、5/6と同じだ

あの時も言い聞かせた、何度も何度も

言葉にしないと伝わらないよ

 


✩殺すな  / スイミー、空を飛ぶ

 


そうか、思い出した

これが全てだ

「思い出せ」、君が叫んだ


✩五月は花緑青の窓辺から  / ヨルシカ

✩夜紛い  / ヨルシカ


君を忘れたい

いや違うな、僕を忘れて欲しくない

そういう事か

あの日から止まったままのフィルム

いや始めてもいなかったのかもしれない

そうだよな、まだシャッターを切っていないんだ

切れなかったんだずっと、

そうか、そんなに時間が経っていたのか

春の風は過ぎ去ってしまったな


青々とした木々が揺れている

道を染める色が君の頬のようで

懐かしく思えた気がした

側溝に溜まる春の亡骸に

優しくレンズを向けた

 

 

✩春鳴 / Nem


☆幻 / My Hair is Bad

 

✩無題  / amazarashi

 

スペシャルトラック

 

春色ダンス(1.5倍速) / Nem

 

#想いでかめら

それでも

あれから1年がたった

この世の中は何が変わった?

一つ言えるのは年が重なった

その紙にも満たない薄さに僕は

嫌気がさしてペンを突き刺した

その場に残った黒のインクが

なかなか取れずに後悔をした

心に空いた深く黒い穴

 


思っていたより綺麗に咲いた

昔育てた一輪の花

そいつに付けた名前は未だ

忘れらないあの子の名前だ

枯れないように水をやって

彼、居ないように願いをやった

 


明日もきっと綺麗な君も

憂いているんだこんな日々を

吸って吐いた息とフレーズを

グッてこらえて泣いたdaysを

 


そんなどうしようもない日々に

一筋の光が差して困ったことも上手くやれるよ

僕らずっと大人になった

悲しみも超えて嬉しさを知った

言葉に出して音をなぞった

それでもきっと

たぶんぼくは

イト

例えば、僕らが出会ったことは

神様の意図かも知れないから

例えば、離れることも

なにか意味があるのかもね

だけど心が言うには、君と僕を繋ぐ糸

切りたくは無いんだと、繋ぎ止める


あれから時間だけが流れた

僕ら少年少女だった頃

未来は明るいと歌う君は、もうここには居ない


6本の糸が繋いだ世界は

まるで流れる音の様に

過ぎては錆びていく運命なのか

そうじゃないだろ、答えてくれよ


日が沈んで目が覚めたってことは

僕らの過ごす日々が重なったのかな

そっちはきっと今頃起きて

もうすぐ支度が終わる頃だろうね

だけど心が言うには、君自身の意図では

いきたくはないんだと、そう思ったろ


6本の糸と紡ぎたい言葉

まるで賛美歌を貶すように

過ぎた事とする運命なんか

そうじゃないと、 答えてやるんだ


あの日からずっと止まっていた

涙の匂いが消えなかった

糸はもう錆び付いてしまった

それでも色濃く残るBGM

あの日と同じだ、歪んだ音

歪みきった僕らの心の

奥底に眠る、愛の音を

その糸で鳴らしてくれないか


6本の糸と紡いだ言葉は

鳴らす度に君をリフレインする

前とはちょっと違うんだほら

そうだ僕は、大人になったんだ


糸を繋いだまま、大人になれたんだ

Re: 拝啓、

拝啓、子供の僕へ

今いる人を大切にしてくれ

親とかだけじゃなくて

嫌いになった子も大切にしてくれ

もちろん好きなあの子はもっと

愛して幸せにしてくれ


はいけい、大人の僕へ

勇かんな大人になっているのか?

やさしいだけじゃダメなんだって

今日、洋子先生が言っていたよ

もちろん好きなあの子にはずっと

やさしく、好きだと伝えて


Re: はいけい、大人の僕へ

勇敢かはまだまだわからないよ

懐かしいな、洋子先生か

最後まで優しい笑顔だったんだ

それと、あの子はもうずっと前に、優しく

さよならと伝えたんだ


Re:Re: はいけい、大人の僕へ

僕はあなたと同じ道をゆくの?

そうなるなら、イヤだな

できるだけみんなと幸せがいいんだ

あの子もずっと手ばなさないように、やさしく

好きだと伝えていくんだ


拝啓、いつかの僕へ


拝啓、いつかのーーーへ

僕はあなたと同じ道をゆくの?

そうなるなら、嫌だな

できるだけみんなと幸せが良かった

あなたもずっと笑っているんだ、優しく

今でも、

プロローグ

「君が帰るまで僕はここにいよう」


それがあの子が旅立つ合図だった


僕らが永遠に重ならない存在なのはこの世界の誰でも知っていた。

善と悪、コインの表と裏のように


日中に存在する君と、夜に存在する僕は重ならない

重なれないのだ


僕は詩を書くことが好きだ

そして、この夜に光り輝く星々も好きだ

星にはそれぞれ名前がある

シリウスカノープス、アークツルス

他にも無数の星たちがあり、名前があったりなかったりする

そんな彼らの中に1人だけ地上に届いてしまった紛い物がいる

 


それが僕だ

 


ここに来て何年経ったのだろうか、僕自身自分が何者なのだろうか、それはわからない

だが、地上にいる彼らと同じような見た目をしているし言語も理解できる

そして文化も理解するのは容易かった


未だ長い夜は尻尾を見せなかった

 


私はいつも同じ歌を歌った、変わるのは周りの環境だけだからだ

無理に自分を合わせる事はとうにやめていた


私には名前がある


ソレイユ


母から貰った大事な名前だ

母は私に太陽のように暖かく永遠に輝くようにとこの名前をつけた


だから無数に降り注ぐ光が照らすこの丘が好きだ


しかし今日はいつもより人が少ない、そんなふうに思っていた

そろそろ休もうと思いケースへギターをしまいポケットにあった紙にその日を綴ろうとしたその時

私は異変に気づいた


人々はその日を暗日と呼んだ


私は、しばらくその丘を歩いて戸惑った

帰り道が分からないし何も見えない

暗闇に慣れていない私は何かにつまづいて手をついた

インクの匂い、ボロボロの紙の感触

 


"何かが居る"

 


咄嗟に身を引いた


すると、


「暗闇に慣れていないなら無理に動くんじゃない」


透き通った優しい声が耳を掠めた


「えっ」


私は止まった


「目を閉じてゆっくり息を吸う、そして目を開けたら大丈夫」


私は暗闇を暗闇で塞いだ

そして大きく吸った

 


インクの匂いが私を満たしていた

カイトウ

子供の頃テレビで見た

夜を駆ける姿に憧れた

誰にも見つからぬように

颯爽と悪を盗んでいた


気づいたら僕も同じように

誰かから何かを奪っていた

世の中の真理に気づいたんだ

そう言って僕は姿をくらました


端から端まで全てを盗った

誰かの正義も誰かには悪で

僕にとってはこの人生全てそれこそが悪だった

わかってくれるか、

 

 

僕らいつから交わっていた

表裏一体なんて言われてさ

誰にも見つからぬように

ゆっくり正義に染まっていた


だけれど僕らは忘れてた

正しい時こそが間違いだって

世の中の真理に気づいたんだ

何も言わず僕は投げ出した


何をしててもつまらなくなった

誰かのシナリオ上からなぞるだけ

「僕自身」なんでどこにもないよ、それこそが本当さ

わかっているんだ


僕がないなら盗めばいい

誰かから盗って貼り付けて

誰かの悪を盗んで正義に変えてしまえばいい

夢も現実も人生も何もかもを盗んでしまえたら

貴方になれるかな


いつしか、僕は誰でもなくて

誰にでもなってしまった

僕らで見つけた人生の全てそれこそが

解答だった