あなた

好きじゃない缶コーヒー

暖を取るため手にしたり

白い息を内に貯めて

一気に吐き出して見せる遊び

マフラーで口元隠してほろり

こぼれた言葉、「今年も1人」

温まる手と冷める缶コーヒー

暖の取り方は去年と同じ

みんな求める人の温もり

不思議だったが今わかった

覚めるが冷めないその温もりが

僕らの心を動かしてるんだ

 


偏に、冬のおかげじゃないか

君に近づく理由が出来た

伝えることはあと一つだけ

伝える言葉、あと一つだけ

クリスマスが近いが期待はしないな

夜は空いてる、でも君は埋まってる

一か八か決戦、予選する前に敗戦

光り輝く街に、寒さばかりが煌めいて

今年の夏からずっと考えていたんだ

もしもこのまま世界が止まってたらって

 


酷くなるな、現状、忘れていく惨状

歴史に刻む年こそ、起こして見せろ革命

君に届く距離はもはや無限となった今じゃ

温もりも寒さだって全部オンラインで繋ぐ

そんな日々に呆れても仕方なく進む

今日の夜道やけに長い、気づく日付聖夜

悴む指で放つ、思いの丈が歌になる

 


みんなの本音はプロフィールの中だけにある

表は大丈夫、キラキラな自分が彩る

後ろに隠れてる、「孤独」は静かに彼を食む

キラキラと輝く街並みだって嘘なの?

外に出ればわかるが、出るなってみんなが言ってる

じゃあどうすりゃいいんだ、僕に根を下ろした孤独

向き合うために必要なのは本当に時間か?

時間が解決するのは、きっと個人だけの希望だ

世界の希望は待ってたって進みやしないさ

誰かに任せるな、明日の自分に託せよほら

勇気の源はいつだってそう孤独だ

 


始まり彼方、そんな歌があった気がした

終わりも彼方、私の人生と同じだ

人生のスタートを探す間にゴール

愛も金も希望もグシャグシャにして捨てた

夜になった街はまるで昔壊したジオラマ

冷気だけが蔓延る午前1時の束の間

口ずさんだ歌に振り向く影がひとつ

貴方だって分かったって邪魔するんだ過去が

 

滑り込んだコンビニ、追って入る貴方

手に持ったコーヒー、息を止める貴方

みんなが求める、人の温もり

今やっとわかった、欲しかったのは貴方